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所属カウンセラーの清田直芳です。
 

普段、生活をしていてガッカリすることってありますよね。このガッカリという感覚ですが、なかなか曲者だったりします。それがきっかけでイライラしてしまったり、やる気を失ってしまったり。ガッカリさせられた相手に怒ってしまうようなこともあるかもしれません。
 

このガッカリという気持ち、つまり失望した時のことを振り返ってみると、共通する一つの感情があることが分かります。
 

失望の前にあるもの。それは、期待です。
 

この期待と失望の関係について、とても印象に残っている出来事があるので、紹介させていただきますね。
 

私は以前、特別養護老人ホーム(通称、特養)という形態の施設で、ケアワーカーとして働いていました。特養では、ご高齢の要介護状態の方々が24時間生活されています。
 

ケアワーカーが常にいないといけないので、施設は年中無休です。月に4回ほど夜勤に入らないといけませんでした。この夜勤がとにかく辛かったんですね。
 

夜勤は2回の勤務を1回の勤務でこなすので、労働時間は日勤などと比べると倍になります。夕方から始まり仕事を終えるのは朝です。帰宅するのが昼を回っていることも日常茶飯事でした。
 

睡眠不足で免疫力が下がってしまい、もともと肌の弱かった私は、常に手や腕が荒れてしまっていました。夜勤の仕事をしなくなってからは、肌荒れはほとんどなくなりましたので、どれだけ夜勤が負担になっていたかが後になって分かりました。
 

この辛かった夜勤ですが、その日によって辛さには違いがあります。ショートステイという、普段はご自宅で暮らしている方が、短期間だけお泊まりをするというサービスがあります。
 

認知症でご自分の状況が理解できなくなってしまった方の中には、家に帰ろうとして夜中じゅうフロアを歩かれているような方もいます。そのような方が転んでしまうリスクが高い場合は、ずっと付き添っていないといけないこともあるんですね。
 

そうなると、途端にその日の夜勤は辛いものになってしまいます。段々と、「今日の夜勤は何もないといいなあ」「平和だといいなあ」と思いながら、夜勤の仕事をするようになりました。
 

そのように思いながら仕事をしていると、何か大変なことが起こってしまった時、「ああ、ついてない」とガッカリしてしまうんですね。夜勤に入るたび、「今日も忙しかった」「今日も大変なことが起きた」と考えながら仕事を続けていました。
 

そのような夜勤ライフを2、3年続けていましたが、ある日ハッと気付いたんですね。
 

「毎回、何もないといいなあ、って思っていたけど、何もない日なんてほとんどないぞ」って。
 

何十人ものご高齢の要介護者が生活されているんですから、小さなことは何かしら起こるんですよね。約5年間、夜勤の勤務に入っていましたが、「今日は何も無かったなあ」っていう日は、5回くらいしかなかったように思います。
 

年に1回のペースです。たった年に1回しかない「何もない夜勤」を期待して、毎回ガッカリしていたんですね。
 

「何かあるのが当たり前なんだなあ」
 

私の中で考え方が切り替わった瞬間でした。何かあるのが当たり前だと思うと、ものの見方がガラッと変わり、憑き物が落ちたように心が軽くなったのを覚えています。
 

その後の夜勤では、何もないことを期待しなくなりましたので、何か不測の事態が起こっても「やっぱり、今日も何か起こったなあ」と、以前よりも軽い気持ちで受け止められるようになりました。
 

このように、自分が勝手に期待をすることが、後の失望につながっていることが数多くあります。
 

もし、普段の生活でガッカリすることが多く、それが不幸の原因になっている可能性があるのであれば、過度な期待は控えた方が良いかもしれません。
 

今回は、期待と失望の関係について書かせていただきました。次回は、期待と失望との付き合い方について書いてみたいと思います。
 

最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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所属カウンセラーの清田直芳です。


今日は「触れる」ということについて書いてみたいと思います。


マッサージにはストレス軽減に良いという研究結果があったり、介護の世界でもタッチケア、タクティールケアという、「触れる」ことによるセラピーが広がりつつあります。


私自身はマッサージを日常的に受けている訳ではありませんが、触れることによる効果には強い信頼を置いています。


特に特別養護老人ホームの認知症フロアで働かせていただいていた時は、その力にとても助けられていました。


認知症の中でも最も数の多いアルツハイマー型の認知症は、血管性認知症とは異なり、病気にかかってしまったら、日を重ねるごとに症状は悪化していきます。(ちなみに血管性は段階的です)


アルツハイマーの症状を見ていると、自分のことが分からなくなってくる途中の段階が最も辛そうに見えます。


どんどん記憶が無くなり、自分がどこにいるのかも、どうすれば良いかも分からないような状態だったら、誰でも辛くなりますよね。


私が担当していたフロアで生活されていたご利用者(仮にAさんと呼ばせていただきます)は、症状が段々と進行していくにつれ、1人で過ごす時間が多くなり、情緒も不安定になってきてしまいました。


ちょっと前までのAさんは、いつもニコニコとされていて、行事がある時には手を叩いて一番楽しんでくださる方でしたので、私自身もその変化を見ていて、辛く感じたのを覚えています。


Aさんの症状はさらに悪化していき、朝起きると毎日のように大声で助けを呼び、混乱し、泣いてしまわれるようになってしまいました。


私としても、傾聴(じっくり話を聴いて気持ちに寄り添う)をしたり、安心していただこうと色々と声掛けをしたりするのですが、なかなか効果がないように感じていました。


混乱していたのもあるのでしょうけど、認知症の進行により、言葉の意味自体が分からなくなっていたのだと思います。


その時、一番効果があると感じたのが、触れるという関わり方です。


安心していただけるように傾聴をしながら、自律神経の通っている肩甲骨の間をゆっくりとさすらせていただくと、いつも10分弱ほどで落ち着かれました。


触れることで、幸せホルモンと言われるオキシトシンが分泌されますので、それで安心感がもたらされたのだと思います。


このオキシトシンは、触れている方にも分泌されますので、自分自身も穏やかな気持ちになり、Aさんと心と心でつながっているように感じました。


険しい表情が段々と和らぎ、以前のような優しい笑顔に戻られた時は、私もとても温かな気持ちになり、嬉しく思いました。


このように触れるというコミュニケーションは、言葉の壁を超えて相手に幸福感や安心感を届けます。


日常的に、親子や夫婦といった関係の中で、肩をもんだり、マッサージをしたりするのは、関係性を良くするのに役立つかもしれませんね。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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こんにちは。所属カウンセラーの清田直芳です。


介護の仕事を長い間やってきて、ご利用者の方とお話をするきっかけに「好きな食べ物って何ですか?」という質問を良くします。


この質問に対してどのような答えが返ってくることが多いと思いますか?


これは、しっかりと統計を取った訳ではありませんので感覚的にですが、約半分の方、もしかしたら半分以上の方が「好き嫌いはない」と答えられます。


そこから、「強いて言えば」みたいに深掘りして行けば、「マグロ!」とか出て来ることもあるんですけど、、、。マグロは人気です。でも、多くの方の答えが「好き嫌いはない」です。


さらに話を聞いていくと、100パーセントと言っていいくらい、戦争中や戦後で食べ物が満足にない時代の話をされます。好き嫌いをしていたら生きていけないっていうことなんですね。


そのようなお話を聞かせていただく度に、いかに自分が恵まれているかっていうことを痛感させられます。


そして、これは僕がもっとも尊敬するAさんと言うご利用者のおばあちゃんに、この質問をして教えてもらったことです。


どうして僕がAさんを尊敬しているかと言う話を少ししておきたいと思います。


理由は、「笑顔がステキ!」「チャーミング」「いつも感謝を忘れない」などいくつもあるんですけど、過去に様々な体験をされて来たからこそという、生きた知恵をお持ちだからです。それが、ふとした時に出て来るですね。この話もそんな風にして聞かせていただきました。


「 Aさんの一番好きな食べ物って何ですか?」


ある日、お決まりの質問を何気なしにしてみました。


Aさんの答えは「好き嫌いはないよ」という、この年代の方に多い答えだったのですが、そこから子育ての話に進んでいきました。


「好き嫌いはないよ。何でも食べる。子供も好き嫌いしないようにね、『美味しい、美味しい』って言って食べるの」


「え? Aさんが『美味しい、美味しい』って言って食べるんですか?」


「そうだよ。私が何でも美味しそうに食べていたら、子供も何でも好き嫌いなく食べるようになるからね。だから、子供も好き嫌い全然ない」


子は親の背中を見て育つ、と言いますけどまさにその通りなんですよね。良い部分も悪い部分も、子供は親の影響をとても強く受けます。


好き嫌いをしない子になって欲しかったら、まず自分が好き嫌いなくご飯を食べる。きっと、いつも怒っていて、喧嘩ばかりしているような子供になって欲しいと願っている親御さんはいないと思いますけど、その姿を見せてしまっている方も多いのではないでしょうか?


お子様に「こうなって欲しい」と願うのであれば、まず自分が実践してその姿を見せること。それが一番大事なのだとAさんから学ばせていただきました。


最後までお読みいただきありがとうございます。


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